こんにちは。今アメリカの学会に勉強に来ています!脳神経外科医の山本です。
私は危険な頭痛を見つけることに命をかけています。
理由はシンプルです。
患者さんの命がかかっているから。
本記事では、危険な病気から来る頭痛(二次性頭痛)を見抜く方法を、プロフェッショナルとして非医療者の方にもわかりやすく解説します。
頭痛について語る上で、どうしても話さないといけないこと。
それは「危険な頭痛」の話です。
これこそ脳神経外科医である私の専門であり、その怖さを一番知っているからです。
決して怖がらせたいわけではありません。
しかし、読んでくださる方の安全を考える上で、どうしても必要なのです。
どうかご理解ください。
3つの危険な兆候
突然の頭痛
人生で初めての頭痛
普段と異なる頭痛
1 「突然」の頭痛
これは、なにより先に、くも膜下出血という頭の中の出血を疑います。
「突然」というと広く解釈されますが、基本的に「数秒単位」で出現する頭痛です。1分以内にピークに達する頭痛も要注意です。
2 「人生で初めて」の頭痛
これも重要なキーワードで、頭痛外来でもよく聞きます。
もともと頭痛を経験したことのない人に頭痛が起きる。そのような場合まず頭の中の異常を考えないといけません。
3 「普段と異なる」頭痛
頭痛持ちの人にとって、自分の頭痛がどのようなものかは一番本人がよく知っている。しかし、普段の頭痛とは明らかに違う、しかも悪化傾向にあるようなものは、注意が必要です。
これらに加えて、言葉が出にくい、手足が動かしにくいなどの神経症状を伴う頭痛は迷わず救急要請が必要です。
すぐに救急車を呼んでください。
CTで頭痛の原因は本当に見つかるか?
「ではCTをとって、頭を検査してみましょう。」
そうお医者さんに言われることがあります。
ではCTで本当に100%安全なのか。
そうではありません。
発症してから何日も時間が経過したくも膜下出血は、CTで誤って陰性と出てしまう可能性が高くなります。
CTでくも膜下出血を検出できる確率は、発症から時間が経つほど下がります。(参考文献1)
発症5日後: 85%
発症1週間後: 50%
発症2週間後: 30%
明らかな頭の中の出血を除外するために、CTをとる。
これは一般的に救急外来等でよく行われることです。
次の画像は、一見正常な頭のCT画像です。
これは極めて見つけにくい、命の危険のあるくも膜下出血の写真です(参考文献2より)。
医療者の方向けに💡
このCT画像では左シルビウス裂に少量のくも膜下出血と、第三脳室の軽度の拡大を認めます。見つけるためには以前の画像との比較が重要です。
CTで一見異常がなくても、存在する異常を「嗅ぎ分ける」。
これが最も脳神経外科医が得意とすることです。
これを見つけられなかった場合、どうなるか。
動脈瘤からのくも膜下出血を見逃し再出血をきたすと、患者さんの死亡率が一気に跳ね上がります。
私がこのような難しい写真を見逃さない自信は、経験量から来ています。
救急病院で研鑽を積んでいた時、脳神経外科の上司は、一人で休日や土日に撮られた病院中の全ての画像に目を通していました。
たった一人の患者も見逃さないために。
それを見習い、私は研修医時代から、朝出勤すると昨晩取られた画像を全て見て、怪しい画像があれば、上司に見せていました。
「いやこれは違うよ、読みすぎだ。」
「うん、これは本物だ。よく見つけたな。」
このようなやり取りを延々と繰り返すうち、本物の読影能力を身につけました。
だから、自信を持って安全な「頭痛外来」ができるのです。
患者さんやご家族はどうすればよいか。
頭痛に限らず、病院にかかった上で重要になってくるのは、「違和感」を、しっかりと伝えることです。
患者さんやご家族の発言から、早期発見につながることがあります。
検査で異常がなかったので、「痛み止めで様子を見てください」。え、そこで終わり??
もちろん、多くの医療機関では命に関わる頭痛を除外することが最優先事項です。
しかし、病院を受診したけど「異常がない」で終わってしまったな…と感じたことのある人は、かなり多いはずです。
「片頭痛」などの慢性的な頭痛は、画像をとっても異常が見つかりません。
こんなに痛いのに、生活に支障が出るのに、吐き気が強くて動けないのに。
「画像に異常がない」で終了し、一向に良くならない。
って、あきらめている方いませんか?
諦めないでください。
今まさに、片頭痛が劇的に良くなって人生が変わる時代が来ているんです。
今回は色々と怖がらせてしまってすみません。
すべて私の経験から、安全性を優先するためです。
では、次回予告。
なんと!
今来ている、アメリカ頭痛学会で得た最先端情報、全部しゃべります。
【2026年最前線】片頭痛の最新治療の全て 〜Migraine Freedomはすぐそこに 〜
ぜひ、お楽しみに!!
医学知識の質問はいつでも専門家としてお答えします!遠慮なくコメントお願いします!
参考文献1
van Gijn J, et al. Neuroradiology, 1982, 153–156
https://link.springer.com/article/10.1007/BF00347559
参考文献2
Tetsuka S, et al. BMC Neurol, 2016, 196
https://link.springer.com/article/10.1186/s12883-016-0726-9





危険な頭痛を見抜く「数秒単位」という時間軸のシビアさと、一方で画像には映らない片頭痛の痛みに苦しむ現実の双方に、正面から向き合う洞察が非常に深く静かに腑に落ちました。私たちはつい、現代の検査機器で異常がなければ「大丈夫」と思い込んで安心するか諦めるかしてしまいがちですが、本質は患者自身が感じる「普段と異なる違和感」にこそ隠されているのですね。臨床の厳しい現実を実直に開示しつつ、次の最新治療へと地続きの希望を繋いでいく語り口に、確かな医療の本質を教わりました。