この記事、我ながら、マジで永久保存版です。
頭痛持ちの人は絶対保存したほうがいい。
※記事の最後に、医療者も保存必須の緊張型頭痛と片頭痛の診断まとめを貼ってあります。
日常的に私たちを悩ませる「頭痛」。
特に「片頭痛」という言葉は、あまりに雑に使われています。
・「へんずつう」を、頭痛全般のことのように言う人がいます。
・天気が変化すると頭痛くなる=片頭痛だと思ってる人がいます。
・「ただの」片頭痛と枕詞をつける人がいます。
すべて間違いです!
本日は危険な病気ではない頭痛(一次性頭痛)の中で特に多い
緊張型頭痛
片頭痛
を専門医師がどう見分けるかを紹介します。
みなさんの頭痛はどちらに当てはまりますか?
緊張型頭痛とは?
よく「肩こり頭痛」と呼ばれるもので、主に頭の横の筋肉や肩、首の筋肉が緊張することで起こる頭痛です。
💡専門医師からのポイント
しかし、「肩こり」は診断基準には入っていないのです!
片頭痛でも、7割の人で肩や首が凝ってます。(参考文献2)
よく肩こり=緊張型頭痛と医師ですら勘違いしています。
まず大事なこと。
危険な病気ではない頭痛(一次性頭痛)の診断は
1 頭痛の性質→2 随伴症状
この1,2を両方満たさないといけません!
「緊張型頭痛」の性質
1 頭の両方や全体が同時に痛む。
2 圧迫感や締めつけ感(じーん、ずーん、どーん)。ズキズキじゃない。
3 軽度〜中等度(日常生活は送れる)
4 歩いたりしても、頭痛に響かない。むしろ動いてごまかす人もいる。
(上記を2つは満たす。)
え、2つは満たす??
そうです。この1〜4、2つさえ満たせばよいんです。
3, 4だけでもよい。
つまり、片方がズキズキと痛むのに、軽い頭痛で歩いても響かなければ、緊張型頭痛として先に進めるんです。
これ、意外じゃないですか?
緊張型頭痛の随伴症状
基本何もない。(気持ち悪くもならない)
光がまぶしい、音がうるさいは、あっても片方のみ。
簡単にいうと何もないことが特徴です。
光や音の過敏は、あってもどちらかのみです。
💡専門医師からのポイント
実は緊張型頭痛も、天気の変化でおこります。(参考文献3)
天気の変化でくる頭痛=片頭痛じゃないんです。
実は非常に多くの人が緊張型頭痛にあてはまります。
全人類の4人に1人くらいは緊張型頭痛を慢性的に経験しています。
これ、ものすごい数。
ロキソニン、カロナールなどの普通の痛み止めで効果のある、ありふれた頭痛です。
「なんだ、片頭痛か」ではない。「なんだ、緊張型頭痛か」なんです。
原因として多いもの
長時間の画面作業、姿勢不良、首肩のこり、運動不足、精神的ストレス、不安、睡眠不足、食いしばり、眼精疲労、水分不足、欠食、冷え、天候変化、枕が合わないこと、鎮痛薬の使いすぎ
ほか、診断のチェックポイント
●頻度と期間: 3ヶ月を超えて平均して月に1〜14日発生する頭痛が10回以上ある。
●持続時間: 1回の頭痛が30分〜7日間持続する。
「持続時間にかなり幅がある」のも特徴です。
いつもの軽い頭痛がとても長引いて、頭痛外来に来た。
よくあるパターンですが、単に緊張型頭痛が長引いただけも多い。
片頭痛とは?
片頭痛は神経が過敏になった結果、頭の血管が拡張し、強い頭痛が起こる「病気」です。
「閃輝暗点」などの「前兆がある片頭痛」は診断は比較的容易です。
これから「前兆のない片頭痛」について深掘りします。
「前兆のない片頭痛」の性質
・ 頭の片側が痛む。
・ドクンドクン、ずきんずきんと痛む。(拍動性)
・中等度〜重度の頭痛(日常の活動が妨げられる、寝込む)。
・歩くなどの日常的な動作で頭痛に響く(動きたくなくなる)。
(上記2つ以上を満たす。)
はい、またここに抜け道なんです。
2つでいいんです。
つまり、
頭の両方が、ずーんと痛む(1,2を満たさない)のに、
日常生活が送れなくて動けない(3,4は満たす)。
これで片頭痛として先に進めるんです!
これは、医師の多くも知らないのではないでしょうか。
💡専門医師からのポイント
片頭痛=頭の片方の頭痛じゃない。実際、片頭痛の方の5割は両方が痛くなります(参考文献4)。「片」という漢字に惑わされてはいけません。
「前兆のない片頭痛」の随伴症状
1 光がまぶしい、音がうるさいの両方を伴う。
2 光がまぶしい、音がうるさいがなかったとしても、吐き気や嘔吐を伴う。
ここちょっとややこしいです。
片頭痛は「まぶしく感じて暗いところに、音がうるさく感じて静かなところに」行きたくなる。この2つを伴います。
しかし、時にこれがない人もいます。
そんな時は、吐き気があれば、片頭痛になります。
普段はそうでもないけど、ひどい頭痛の時だけ、吐き気が出てくる。そんな人はいませんか?
それ、「その時だけ」片頭痛です。
💡診断基準に書いていない専門医師からのさらに大事なポイント!
それは「匂いの過敏」です。香水がかなり多いです。これは光過敏と、音過敏と同列で扱ってください。
例えば、音過敏はないけど、よく聞いたら光過敏と匂い過敏がある。その場合、他を満たすなら片頭痛とするべきです。
このように診断基準にも反映されていない専門知も記事に入れ込んでいます。
片頭痛の原因として多いもの
天気、温度変化、ホルモンの変化、ストレス、精神的緊張、食生活の乱れ、欠食、脱水、アルコール、カフェイン過多、カフェイン離脱、運動不足、急な運動、睡眠不足、睡眠過多、光刺激、騒音、におい、疲労、食品添加物、チョコレート、チーズ、加工肉、空腹、眼精疲労
ほか、診断のチェックポイント
●頻度: 片頭痛の特徴を満たす発作が5回以上ある。
●持続時間: 1回の頭痛発作が4〜72時間持続する(未治療、または薬が効かない場合)。
片頭痛は長くて3日間です。
寝込む頭痛が3日続く、、なんて最悪なんでしょうか。
一方、明らかに強い頭痛が4日以上続く場合、「おかしい」と思ってください。
実は「混ざっている人」が大半
ここまで2つの頭痛を分けて解説してきましたが、実は頭痛は「100%緊張型頭痛」「100%片頭痛」と完全に割り切れる人の方が少ないです。
「緊張型頭痛の因子」と「片頭痛の因子」が混ざり合っているケースが圧倒的に多いです。
以下が、医療者もぜひ保存してほしい「まとめの一枚」です。(参考文献1, 5より作成)
僕は患者さんと、この図を一緒に見て考えます。そうするとやがて自分で言い始めます。
「先生、今月は緊張型頭痛が8回、片頭痛が2回もありました。」
自分で自分の頭痛をわかるようになったんです。
よくわからないから、自分が片頭痛か簡単に知りたい!という人へ。
日本で権威ある医師が作成した片頭痛スクリーニングを貼っておきます。ちなみにここでも、「匂い過敏」が大事なんですね。
まずはご自身の頭痛が、どちらの傾向が強いかを知ることが、正しい治療への第一歩になります。
ご自身で判断が難しい場合は、「たかが頭痛」と我慢せず、専門医に相談してください。
それでは次回予告。
「危ない頭痛に命をかける、脳神経外科医のこだわり」
またお会いしましょう!
参考文献
1 国際頭痛分類 ICHD-3 β版 (国際頭痛学会, 2018)
2 「片頭痛では7割以上で肩が凝っている」
Al-Khazali HM, et al. Cephalalgia, 2022, 663–673
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/35166137/
3「片頭痛だけでなく緊張型頭痛も天候に左右される」
Wang J, et al. Eur J Neurol, 2013, 689–696
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/8316392/
4「片頭痛では半数以上が両側の頭痛」
Loder E, et al. Pain Res Manag 2018;2018:6157982
https://doi.org/10.1155/2018/6157982
5 竹島多賀夫 編『ジェネラリストのための頭痛診療マスター』日本医事新報社, 2022)
健康相談はお受けできませんが、一般の医学知識についての質問はコメントいただければお答えします。「ぜひコメントお待ちしています。」





とても分かりやすいご説明ありがとうございます!
患者さんに説明する時の参考にさせていただきます!
山本さん、
なるほど、医学的に片頭痛とは、かなり厳格に定義されているんですね! 1日12時間モニタとにらめっこのぼくは、緊張型頭痛の気はありそうでっす。