こんにちは!
アメリカからのフライトの帰りに本記事を執筆しています!
これは私の「脳のメルマガ」からの発信。
「脳のメルマガ」の方では、皆様を啓発する医師としてではなく、私個人のメッセージとして発信するため、意図的に「ですます」調を避けている。
本記事では2026年時点での「AIの性質」を深掘りし、分野横断的な本質的部分を解説する。
ちなみに、執筆にAIは全く使用していない。
ぜひ最後まで読んでいただきたい。
まずこの問いから始めよう。”科学研究をAIが全自動化することはありうるのか?”
この”研究の自動化”の文脈に関しては、知的生産に関わる一人の人間として、強く関心を寄せている。
科学研究とは人間の智が最も生かされる領域だ。
2026年3月〜5月に、科学雑誌の最高峰であるNature誌にAIによる研究の自動化に関する複数の論文が一気に掲載されたことをご存知だろうか?
1 Gottweis J, et al. Accelerating scientific discovery with Co-Scientist. Nature. 2026.
URL: https://www.nature.com/articles/s41586-026-10644-y2 Ghareeb AE, et al. A multi-agent system for automating scientific discovery. Nature. 2026.
URL: https://www.nature.com/articles/s41586-026-10652-y3 Lu C, et al. Towards end-to-end automation of AI research. Nature. 2026.
URL: https://www.nature.com/articles/s41586-026-10265-5
3はSakana AIの研究で少し有名となったが、それ以外にも次々とPublishされている。
AIが仮説を生成する、実験の計画をたてる、論文の執筆までエンドツーエンドに仕上げる。
ではもう人間の役割は実験室でピペットを触り、データをAIに入れるだけになるのだろうか?
この問いに対しては、明確に”No”だ。
Natureの論文を「もう人間の研究者はいらない」と浅く紹介してはいけない。
特に面白いのはマルチエージェントシステムで研究の自動化をはかった2番目のA multi-agent system for automating scientific discovery. だ。
論文を読み解けば、AIに入れるプロンプトがエキスパートによって練り上げられていたり、最終の仮説の採用は人間だったり、明確な人間の関与が存在する。
つまり読み解くべきは、これがAIの性質をフル活用した一つの「ユースケース」に過ぎないということだ。
ではAIの性質とは?
・人間より優れた範囲・量での情報処理能力
・試行を疲れずに繰り返すことのできる能力
・コンテキストがフレッシュな別のAIをいつでも起動できる能力
他にもあるが、とりあえずこの辺り。いずれも一人の人間には真似できない能力だ。
本質を先に言おう。現時点でのAIのすべての能力の根源は”Loop”にある。
AIは人間より早く情報を処理し、一回のターンで推論のLoopを回せる。
AIは人間と違い疲れない。計算資源が稼働する限り動き続ける。
これらにより、人間1人なら限界がある量の文献を短時間で、しかも集め続けることができる。
一度推論を走らせたものを、コンテキストが別のサブエージェントで批判することもできる。
この仕組みすべてを一つのLoopにして繰り返すことまでできる。
これらの性質は人間をすでに超越している。
これを仮説生成に応用するというのが、最近の研究の自動化に関する一つの文脈だ。
多量に読み込んだ文献から仮説を次々と考えて、LLM-as-Judgeとして判断役も渡す、等いくつもエージェントを起動して、人間では限界のある数の仮説を生み出し、質の高いもののみ抽出する。
しかしこれも結局のところ、上述のAIの性質をフルに引き出し、最終判断を人間がするという役割分担を、科学研究で実装したという話にすぎない。
では、性質上AIに絶対真似できない人間の能力とは何か。
それは人間が
自分という個人の持つ思考や、背景を反映した”創造”を生み出せる
ということである。
この点において、人間は、AIより深い思考をしたり、AIが絶対に思いつかないアイデアを生み出すことができる。
AIは多量なデータを学習し、誰もがよいと思う報酬に最適化されている。また、「過去のデータ」にしか基づかない。そのため、一定の深みにしか到達しないと考える。
大事なのは役割分担だ。
AIが人間より優れたところを活用することは重要で、生産性をあげるため不可欠となってくる。
AIの性質そのものを理解し、取り入れることが重要だ。
結論を言う。
AI活用の本質とは、
「AIの性質をどれだけレバレッジできるのか」+「”自分” をどれだけレバレッジさせられるのか」
である。
レバレッジというのは、
leverage : 〜を活用する
という英単語。「活用する」が一般的な訳だが、日本語でいうところ、「効かせる」と訳すとピタリとくることがある。そもそも「レバレッジを効かせる」と使われることもある。
レバレッジが2回目でてきたが、前者は「活用する」、後者は「効かせる」と訳してほしい。
まとめ
・これまで触れてきた”AIの性質”を理解し
・それを自分の文脈を考え、どこに入れれそうか考えて応用することができ
・さらにそのアウトプットに”自分”をレバレッジさせて最終成果物にできる人
これが本当にAIを使いこなす人だと思う。
何かご意見などもしあれば、コメントでお待ちしてます。



「AIの性質をレバレッジ(活用)する」だけでなく、そのアウトプットに「『自分』をどれだけレバレッジ(効かせ)られるか」という結論の着地点が非常に本質的ですね。
過去の学習データや一般的な報酬に最適化されがちなAIに対し、人間が持つ固有の背景、文脈、独自の思考を掛け合わせることで初めて、一定の深みを超えた「創造」が生まれるのだという指摘に強く共感します。
山本さん おかえりなさい😊
お疲れ様でした✨