こんにちは。
本日は私の「脳のメルマガ」からの配信。
今日は私にとって、上半期一番の良著についてお話ししたい。
その本のタイトルは『AI脳クライシスデジタルは人から何を奪うのか』。酒井邦嘉 編著、羽生善治・ピーター・バラカン・千住博・柳田邦男 著 集英社インターナショナル
内容はAIを使いすぎてあなたの脳は大丈夫か、という警鐘を鳴らす論調のものだが、経歴ある言語脳学者が書いた研究に基づいた脳科学の知見も解説している。
さっそく『AI脳クライシス』の内容を脳の専門の立場から紹介していこうと思う。
主に扱うのは、いわゆる「英語脳」に関して紹介する。
バイリンガルの「ダブルリミテッド」(複数言語に脳のリソースをさいているから脳の効率が悪い)は誤り。
幼少期から英語を勉強させると日本語がおろそかになる。
複数の言語があると言葉が出るのが遅くなる。
このようなことは誤りと著書の中で明確に否定されている。
子どもに外国語を学ばせるタイミングを悩んでいる人は、迷わなくてよい。
つまり、早くても問題はない。
母語を獲得中の子どもは、そもそも言語を区別していない。
すべて人によって違う話し方の個性、くらいにしか認識されていない。
ヨーロッパなどの多言語地域では、5,6歳になれば多言語をすべて母語として獲得できてしまう。
私にも幼児(1歳、3歳)がおり、日本語の絵本と英語の絵本を読み聞かせるが、どちらも同じように集中して聞いている。
なぜ複数言語が混在していても人間の脳にとって問題はないのか。
「文法の中枢」を生まれて初めて働かせているからである。
文法の中枢については、ここから詳しく説明したい。
人間の脳には”文法の中枢”が生まれつき存在し、言語は「認知能力」を使って獲得される。
「誰が」 「何をする」という言語の木の”幹”に
「どのような」「どんなふうに」という”葉”をつける
これを文法の木構造といい、言語の種類によらない。
文法の中枢とは、この「言語の構造そのもの」を理解する脳の場所だ。
左の前頭葉にこの「文法の中枢」が存在することが、機能的MRIの研究によって示されている。
その中枢が根底にあれば、人間は原理上、無限に言語を扱える。
あなたの周りに、第二言語を習得したら、第三、人によっては第四まで習得してしまう人はいないだろうか。
その人は特別優れているわけではない。
複数の言語に触れるほど、言語間の共通性などが脳に定着し、あらたな言語の習得が容易になっているからだ。
文法の中枢という土台の上に言語を習得する能力は、単語を覚える、文章を書く、会話する、などのこれらは認知能力(つまり意識的な努力)によって身につく。
動物にはこの文法の中枢が存在せず、鳥やイルカは音でコミュニケーションをとることが可能だが、これは鳥語やイルカ語ではなく、「認知能力」のみで簡単なやりとりをしているに過ぎないそうだ。
言語の習得に臨界期(この時期をすぎたら遅い)や感受性期(この時期にやると最も効果的)はない。
つまりいつになっても遅くはない。
一方、結局言語の習得に近道はない。
最も私が強調したいのはこれだ。
外国語を学ぶのに遅すぎることはない。
つまり早いほど良いし、逆に年をとってからでも問題はない。
しかし逆にいうと、近道はない。何歳で勉強しようと、努力が必要。
努力をおこたってしまえば、留学に行ってもペラペラにはなれない。逆に日本にいながらでもマスターできる。
私は色々な方法で、英語を日常生活に暴露している。どれだけ意識的に晒すかも需要だと思っている。
まとめ
①バイリンガルの「ダブルリミテッド」(複数言語に脳のリソースをさいているから脳の効率が悪い)は誤り。
②人間の脳には文法の中枢が生まれつき存在し、言語は「認知能力」を使って獲得される。
③言語の習得に臨界期や感受性期はない。
ここまで読んでくださってありがとうございます。
私のメルマガでは、「頭痛のメルマガ」と「脳のメルマガ」でセクションを分けて発信しています。
「脳のメルマガ」では、脳の専門家として発信する、「脳機能」「脳科学」の話題についても発信しています。
私がどんなことをして「英語脳」をキープしているか、本記事についての質問など、いつでも受け付けていますので、コメントをぜひよろしくお願いします!



幼少期から複数の言語に触れさせるとどちらも中途半端になるという「ダブルリミテッド」の説が誤りであると知り、とても安心しました。
1歳と3歳のお子さんに日本語と英語の絵本をどちらも同じように読み聞かせているという具体的なエピソードからも、子どもがそれらを「話し方の個性」として自然に受け止めている様子がよく伝わり、早期の語学学習に迷う親御さんにとって大きな後押しになる内容ですね。